テキストサイズ

誓いのガーランド

第10章 花冠の代わりに 3

「今から、俺と2人でそういうことになると思うけれど、いい?」

花実の方も角村と、この状況でそうなることを望んでいたから、首を1度、縦に振った。

「嫌だったら、言ってね。俺の勝手で宇吹さんを傷つけたくはないから」

前を向いて歩きながら、角村は言った。
いつもとは違う優しさだった。花実のことだけを考えた優しさだった。
花実もそんな彼に応えたかった。

「勝手なんかじゃない。……キスした私の方が勝手だった」

そう告げた時にはホテルの前にいた。
角村は、苦笑しながら花実を振り返る。

「じゃあ、お互い様かな」

そう言って、手を繋いだまま、2人は自動ドアに吸い込まれていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ