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誓いのガーランド

第12章 花冠の代わりに 5





「俺……実はさ。『ガーランド』の作者なんだよね……今まで、黙っててごめん」




……花実は傾けていた耳から入ってきた言葉が、ひとつも理解できなかった。
ガーランド、作者、俺……この単語が、花実の頭の中でグルグル回る。

「え……?」

花実の頭の中はクエスチョンマークでいっぱいだった。ガバッと顔を上げて、彼を下から見上げる。

……今の、聞き間違いじゃないよね?
……今の、眠る寸前にみた夢とかじゃないよね??

彼は現実か何か判断がつかない彼女に、落ち着いた声で、もう一度、丁寧に言葉を重ねた。

「俺、漫画描いてる。ペンネームは赤葉紅。『ガーランド』は処女作で、今は『終末のエクメーネ』を連載してる……信じられないでしょ?」

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