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角村がイタズラっぽい笑みを浮かべる。
信じられないだけど、何故か、それが嘘だとは思わなかった。
花実の頭の中で不思議だった色んなことが、瞬時に繋がる。

彼は漫画を描くために、毎日定時で帰っていた。

漫画を描くのは恐らく容易でない。目の下のクマは、本当に寝不足だったわけだ。

一発描きで描かれた、猫の作者キャラクター。
不自然なくらい上手だったのは、彼があの猫の生みの親だったからだ。

角村が更に言葉をつなげる。

｢俺、下の名前、楓っていうでしょ？ 赤葉紅は、楓から連想してつくったペンネームなんだ｣

花実は眠気が吹っ飛んだ頭で、必死に考える。
必死に考えて、出た答えは、ひと言だった。



｢えっと……つまり、え、私、いちばん大好きな漫画の作者さんと……恋に落ちたってこと？｣