三度目の恋
第1章 まさかの再会
「な、何やってんのここ女子トイレ!」
「水持ってきただけ。ほら、楽になるよ」
な、なかなか気が利くじゃない……。ありがと、と素直に水を受け取った。吐き気も少し落ち着いて酔いも覚めてくる。立花日向はただ黙って私の近くにしゃがんでいた。
「……戻らなくていいの」
「うん、無理やり連れて来られただけだし」
「ふーん。彼女いるんだ?」
「気になる?」
チラリと見れば、奴はまた食えない笑顔。はぁ、とため息を吐いて立ち上がった。
「興味ない。私帰るって言っといて」
「送る」
「いい」
「送る」
「いいって」
しつこい立花に苛々して足を踏み出した時、視界がぐるりと回った。支えるようにぐっと腕を掴まれた時、真剣な顔が目の前に来て。視界だけでなく気持ちもぐるりと回って吐き気がした。私はこんなに時間が経ってもこの男に振り回されるのか、と。
「ヨリ、綺麗になったね」
「……あんたは全然変わってないね」
「そう?翔には色気出てきたって言われるんだけど」
牧瀬は適当に言ってるだけな気もするけど。……でも、でも。確かに、色気もプラスされていい男になってて腹が立つ。
「……近いんだけど」
「うん、そうだね」
「私さっきまで吐いてた」
「大丈夫、臭わないよ」
「そういう問題じゃなくて」
「ねえヨリ、いい加減こっち向いてよ」
掴まれていた腕に、力がこもる。反射的に見上げて、後悔した。
「水持ってきただけ。ほら、楽になるよ」
な、なかなか気が利くじゃない……。ありがと、と素直に水を受け取った。吐き気も少し落ち着いて酔いも覚めてくる。立花日向はただ黙って私の近くにしゃがんでいた。
「……戻らなくていいの」
「うん、無理やり連れて来られただけだし」
「ふーん。彼女いるんだ?」
「気になる?」
チラリと見れば、奴はまた食えない笑顔。はぁ、とため息を吐いて立ち上がった。
「興味ない。私帰るって言っといて」
「送る」
「いい」
「送る」
「いいって」
しつこい立花に苛々して足を踏み出した時、視界がぐるりと回った。支えるようにぐっと腕を掴まれた時、真剣な顔が目の前に来て。視界だけでなく気持ちもぐるりと回って吐き気がした。私はこんなに時間が経ってもこの男に振り回されるのか、と。
「ヨリ、綺麗になったね」
「……あんたは全然変わってないね」
「そう?翔には色気出てきたって言われるんだけど」
牧瀬は適当に言ってるだけな気もするけど。……でも、でも。確かに、色気もプラスされていい男になってて腹が立つ。
「……近いんだけど」
「うん、そうだね」
「私さっきまで吐いてた」
「大丈夫、臭わないよ」
「そういう問題じゃなくて」
「ねえヨリ、いい加減こっち向いてよ」
掴まれていた腕に、力がこもる。反射的に見上げて、後悔した。