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三度目の恋

第1章 まさかの再会

 会ったのは高校の卒業式以来だ。それから私は奴との連絡ツールを全て絶った。奴がいつもつるんでいた一条と牧瀬、吉岡という高校の同級生とはたまに同窓会なんかでは会ったけれど、事前に立花日向が来ない飲み会を調べそれにだけ参加していたから絶対に会わなかった。私がどれだけ立花日向を嫌っているかを知っている三人も、奴の話題は出さないように気を付けているようだった。たまに牧瀬が何か言いたそうに私を見ていたけれど無視をした。そもそも牧瀬はフェロモンがすごくてあまり直視できない。
 驚くべきことに、いつもあまり上手く行かない合コンが今日は信じられないほどスムーズに進んだ。立花日向が同じ室内にいること以外は最高の合コンだ。ただ、奴がいることで思った以上に神経をすり減らしていたらしい。とにかくお酒を沢山飲んだ。その結果。

「おえええ、気持ち悪うううう」

 トイレにこもることになった。何やってんだろ私。ほんと、自分の馬鹿さ加減が嫌になる。きっと今頃隣にいた成瀬くんは他の女の子と仲良くなって連絡先でも交換しているのだろう。私も……、私の存在も忘れないでくれ……と、無理やり席に戻ってもこんなボロボロの女、引かれて終わりだろう。……帰ろう。また彼氏できなかったなぁ、と落ち込み俯いた時。

「ねー、ヨリ、大丈夫?」

 後ろから声が聞こえてきて慌てて顔を上げた。奴に弱みを見せるのは我慢ならない。

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