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三度目の恋

第1章 まさかの再会

「……キスしていい?」
「ダメに決まってるでしょ」
「だよね」

 ハハッと笑って立花日向は私から離れた。詰まっていた息が、一気に口から流れ出す。

「送るよ」
「……」

 もう言い返す気力もなかった。私はフラフラとしながら歩き、奴は私の少し後ろを歩く。何も話さない後ろが不気味で何となく緊張して、立花がいる右半身が固まっているような気がして仕方なかった。

「はい、これ飲んで寝て」
「……ありがと」

 途中で寄ったコンビニで買ってくれたらしい水のペットボトルを手渡し、立花は爽やかに微笑む。そしてしっかりと私が家に入るまで見届けて帰っていった。……何だか拍子抜け。何かあったら困るけれど、奴のことだから家に上げろとか言いそうなのに。玄関のドアを少しだけ開け、奴の姿を探す。悠々と歩く奴の後ろ姿は、昔から何度も何度も見て、焦がれたもので。
 ……あぁ、もう、ほんと最悪。泣きそうになってその場に座り込んだ。
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