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ユリの花咲く

第2章 瑞祥苑

「そうなの。それで?」

私は続きを促した。

「それからは、あたし、とにかく彼女に認めて欲しくて、休み前には、彼女のマンションで・・抱かれました。
もちろん、それ以外の時間は、必死で企画書に取り組みました。
あたし、そんな生活が、結構幸せでした」

「そうなの。でも、それならそれで良かったんじゃないの?
別に不倫関係でもないし」
私は言った。

「はい。私もそう思ってました。
正直いうと、彼女との関係、あたしは少しも嫌じゃなかったんです。
大学の時に、彼氏が出来て、男と女の関係も知ってます。でも、その時はちっともいいなんて思わなくて。
あっ!ごめんなさい。こんな話」

「いいのよ。何でも話して。
私に出来ることは、聞いてあげることしかなさそうだから」

私は先を促した。

「は、はい。あたし、彼氏とのセックスで、感じたことなかったんです。ただ、彼の事が好きだったし、彼が求めるから許してたっていうか・・・」

「で、彼女の方が良かった?」

「はい」

遥は頬を染めながら答えた。

「でも、彼女にあたし、裏切られたんです。
彼女が、リーダーになって始まったプロジェクトは、あたしの提案したままの企画でした。

でも、彼女があたしをチームに迎えてくれていれば、そんなことどうでも良かった。
あたしの名前なんて、出してくれなくても良かった。
あたし、彼女の事を・・・、多分愛してたから。

でも、そのプロジェクトから、あたしは外されたんです。
そして、あたしと同期の男性社員が、プロジェクトに参加していることを知りました。
あたし、すごく悔しかったけど、企業で女性が差別されるって、こういう事なんだって、ムリに自分に言い聞かせようとしました。
でも、どうしても許せないことが、あたしの耳に入ってきました。
その男性社員が、彼女と関係があるって・・・」

「それで、退職したの?」

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