ユリの花咲く
第3章 新人がきた
面接した黒木祐次が、正式に採用されることになった。
私は宮沢施設長に呼ばれ、黒木のトレーニングを託された。
「何もわかりませんが、よろしくお願いします」
頭を下げる黒木。
45歳とはいえ、今まで工場の現場で、機械を相手にしてきた彼は、緊張を隠せないでいた。
「とにかく今日は、私の後を付いて回って下さいね。ポイントは、その都度説明しますから」
私は彼を連れて、フロアーに入る。
昨夜の夜勤は、早見拓也。
黒木の姿を見て、自分から声を掛けた。
「黒木さんですね。オレは早見拓也っす。よろしくお願いします」
「黒木祐次です。未経験ですが、よろしくお願いします」
そして、佐久間洋子さん。
「頑張ってね」
キッチンから声を掛けた。
そのあとは、利用者さん。
私が紹介し、黒木が挨拶をしていく。
「オッサン、誰だ?」
山田実の洗礼。
「く、黒木です。今日からお世話になります」
辛うじて、自己紹介をする。
「そうか。オレは山田実や。よろしくなあ」
とりあえず、難しい利用者さんひとりはクリア。
その後、私は体温計や血圧計の使い方を教え、次々と到着してくる利用者さんのバイタルチェックをやらせてみる。
「終わったら、ここに利用者さん別の介護日誌のがあるから、記入してくださいね」
黒木さんは、ゆっくりだけど、確実にこなしていく。
その時、江角潤子が到着した。
今日は、胸元の大きく開いた真っ赤なワンピース姿。
家族のいる利用者さんには、ズボンを履かせるようにお願いしているのだが、
一人暮らしでヘルパーが朝の送り出しに入っている潤子は時々こういう格好でやってくる。
ひどい認知症で、デイサービスに送り出すだけでも大変な潤子に、こちらの要望どおりに服を着させることは、時間の限られたヘルパーにとってはさらに困難なのだ。
だからといって、自宅に一人放置する事は、徘徊や事故を考えると、絶対にできないのだ。
「あら?新しいお兄さんね。
わたし、江角潤子。よろしくね」
黒木を目ざとく見付けてそう言うと、手を出して握手を求める。
「よ、よろしくお願いします」
黒木は、その手を握った。
私は宮沢施設長に呼ばれ、黒木のトレーニングを託された。
「何もわかりませんが、よろしくお願いします」
頭を下げる黒木。
45歳とはいえ、今まで工場の現場で、機械を相手にしてきた彼は、緊張を隠せないでいた。
「とにかく今日は、私の後を付いて回って下さいね。ポイントは、その都度説明しますから」
私は彼を連れて、フロアーに入る。
昨夜の夜勤は、早見拓也。
黒木の姿を見て、自分から声を掛けた。
「黒木さんですね。オレは早見拓也っす。よろしくお願いします」
「黒木祐次です。未経験ですが、よろしくお願いします」
そして、佐久間洋子さん。
「頑張ってね」
キッチンから声を掛けた。
そのあとは、利用者さん。
私が紹介し、黒木が挨拶をしていく。
「オッサン、誰だ?」
山田実の洗礼。
「く、黒木です。今日からお世話になります」
辛うじて、自己紹介をする。
「そうか。オレは山田実や。よろしくなあ」
とりあえず、難しい利用者さんひとりはクリア。
その後、私は体温計や血圧計の使い方を教え、次々と到着してくる利用者さんのバイタルチェックをやらせてみる。
「終わったら、ここに利用者さん別の介護日誌のがあるから、記入してくださいね」
黒木さんは、ゆっくりだけど、確実にこなしていく。
その時、江角潤子が到着した。
今日は、胸元の大きく開いた真っ赤なワンピース姿。
家族のいる利用者さんには、ズボンを履かせるようにお願いしているのだが、
一人暮らしでヘルパーが朝の送り出しに入っている潤子は時々こういう格好でやってくる。
ひどい認知症で、デイサービスに送り出すだけでも大変な潤子に、こちらの要望どおりに服を着させることは、時間の限られたヘルパーにとってはさらに困難なのだ。
だからといって、自宅に一人放置する事は、徘徊や事故を考えると、絶対にできないのだ。
「あら?新しいお兄さんね。
わたし、江角潤子。よろしくね」
黒木を目ざとく見付けてそう言うと、手を出して握手を求める。
「よ、よろしくお願いします」
黒木は、その手を握った。