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ユリの花咲く

第4章 夜勤

自転車の鍵を開けていると

「わっ!」

と言って、遥が現れた。

私は、心臓が止まりそうになった。

まさかこんな時間に遥が居るとは、少しも思ってなかったから。

「どうしたの、こんな時間に!」

私が言うと、
真っ赤な目で、言う。

「有紀がいないから、眠れなかった」

「バカねえ!私はいつも遥の側に居るのに」

「でも、寂しかったんだもん」

と、今にも泣きそうな遥に、私は言う。

「でも、とにかく早く、帰らなきゃ。もうすぐ、拓也が来るんだって」

遥は、ハッとしたような顔をする。

「そうだった!昨日、拓也からLINEが来てたんだ」

私たちは、マンションに向かって、自転車で走り始めた。

5分程必死に走って、スピードを緩める。

遥が息を切らして、追い付いた。

「もう、やだ!」

遥は愚痴を言う。

「遥、カフェに寄って帰ろうか?」

「う~ん・・・」

いつもなら小躍りして賛成するのに、今日は乗り気では無さそうだ。

「でも、有紀は今日も夜勤でしょ?少しは休まないと」

遥が言った。

「じゃあ、サンドイッチ買って帰って、家で食べようか?」

「うん!今日は、あたしがおごってあげる!」
いつもの調子に戻った遥。

やっぱり、遥には笑顔が似合ってるよ。

「ホントに?じゃあ、一番高いのにしよっ!」

私は言って、自転車を漕ぎだした。

「やだよぅ!タマゴサンドだよ!」

言いながら、遥は追いかけてきた。

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