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王子様の憂鬱

第1章 昔のお話

 何も変わらない日常の中で、そこだけが私にとって特別な非日常だった。


 学生の時、私は「普通」だった。スクールカースト的には真ん中の真ん中。目立つわけでもなく、地味なわけでもなく。普通に友達がいて、たまに告白されたりして、彼氏もちょっとできて、本当に普通。

 楽しいのは楽しかった。自分の高校生活に問題が起こるとも思ってすらいなかったし、たまにちょっと友達同士のいざこざがあったってその時は夜も眠れないほど悩んだけれど今となっては可愛いものだったと思う。高校生活が退屈なものだとかそんな風にも思ったことなかった。

 一つだけ他のみんなと違ったのは、毎日放課後図書室で王子様のお守りをしていたことくらいだ。王子様?お守り?多分初めて聞いた人にはハテナマークしかないと思う。

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