王子様の憂鬱
第1章 昔のお話
私の高校には絶対的な王子様がいた。彼の名は西園寺幸人。名前の通り、とても幸せな人だと思う。よく知らないけれどどこかの大企業のお偉いさんの息子で、容姿端麗、成績優秀、運動神経にも恵まれ、彼はいつも全生徒の憧れだった。
完璧な言動。完璧な見た目。疲れないのかな、と遠目に見ながら思っていた。
そんな彼と何故か関わりを持ってしまったのは私が図書委員として毎日放課後図書室にいたからだ。本が、そして図書室という空間が好きな私は毎年進んで図書委員に立候補し、誰もやりたがらない委員の仕事を進んでやった。主な仕事は放課後の図書貸出業務だ。基本的に司書教諭の先生がいるのだけれど、先生も色々と忙しく、しかも私は毎日来るのでそのうち信頼を勝ち取り基本的に仕事を任されるようになった。本を読みながら、たまに返しに来たり借りに来たりする人から本を受け取る。図書室にも常連さんというものがいて、大抵受付に来るのは見知った顔だった。
だから、異色すぎる彼が図書室に来た時は結構目立った。
「心理学の本ってどこにあるかな」
耳触りのいい声だと思った。多分音や声にも人間の耳にとって心地いいもの、不快なものがあって、この人の声はちょうど心地いいもののど真ん中にある。私は顔を上げて彼の顔を見て納得した。なるほど、綺麗な顔から出て来る声も綺麗なのかと。
「心理学は右側の列の5列目です」
彼はありがとうと言って私の言った通りの場所へ行った。そして目当ての本を見つけたらしい、適当な机に座ってそれを読み出した。
完璧な言動。完璧な見た目。疲れないのかな、と遠目に見ながら思っていた。
そんな彼と何故か関わりを持ってしまったのは私が図書委員として毎日放課後図書室にいたからだ。本が、そして図書室という空間が好きな私は毎年進んで図書委員に立候補し、誰もやりたがらない委員の仕事を進んでやった。主な仕事は放課後の図書貸出業務だ。基本的に司書教諭の先生がいるのだけれど、先生も色々と忙しく、しかも私は毎日来るのでそのうち信頼を勝ち取り基本的に仕事を任されるようになった。本を読みながら、たまに返しに来たり借りに来たりする人から本を受け取る。図書室にも常連さんというものがいて、大抵受付に来るのは見知った顔だった。
だから、異色すぎる彼が図書室に来た時は結構目立った。
「心理学の本ってどこにあるかな」
耳触りのいい声だと思った。多分音や声にも人間の耳にとって心地いいもの、不快なものがあって、この人の声はちょうど心地いいもののど真ん中にある。私は顔を上げて彼の顔を見て納得した。なるほど、綺麗な顔から出て来る声も綺麗なのかと。
「心理学は右側の列の5列目です」
彼はありがとうと言って私の言った通りの場所へ行った。そして目当ての本を見つけたらしい、適当な机に座ってそれを読み出した。