スローラブ
第1章 変わった人
「あ、これ。落ちたよ」
私?と思って振り向くと爽やかな笑顔が私を見下ろしていた。一瞬固まり、でもすぐに頭を下げ彼の長い指に挟まれているボールペンを受け取る。
「……ッ、あ、ありがとう、ございます!」
ど、どもっちゃった!どもっちゃった!彼し出していたのは私の大好きなキャラクターが頭に付いたボールペンだった。いつの間に私の胸ポケットから飛び出したのか、とりあえずいい仕事したよ君!
「どういたしまして」と微笑むと歩いて行ってしまった彼。その大きな背中が角を曲がって見えなくなったと同時、私はそのボールペンを握り締めて大きくガッツポーズをした。
しゃ、喋っちゃった……!私、島田さんと喋っちゃった……!
さっきの彼、島田雅之さんは私がいる課の隣の課の課長さん。30歳、独身。見た目は爽やかで優しそうなイケメン。その上物腰が柔らかくて親しみやすい。女子社員から人気があるのは当然。……もちろん私も、入社当初から憧れていたりする。
憧れてはいるけれど、特に何かしているわけではない。島田さんを狙っている先輩は多いし、そんな人たちに目を付けられたらこの会社では生きていけない。だから見ているだけ。こんなラッキーがないと、話すことすらなかなかできない人なのだ。
私?と思って振り向くと爽やかな笑顔が私を見下ろしていた。一瞬固まり、でもすぐに頭を下げ彼の長い指に挟まれているボールペンを受け取る。
「……ッ、あ、ありがとう、ございます!」
ど、どもっちゃった!どもっちゃった!彼し出していたのは私の大好きなキャラクターが頭に付いたボールペンだった。いつの間に私の胸ポケットから飛び出したのか、とりあえずいい仕事したよ君!
「どういたしまして」と微笑むと歩いて行ってしまった彼。その大きな背中が角を曲がって見えなくなったと同時、私はそのボールペンを握り締めて大きくガッツポーズをした。
しゃ、喋っちゃった……!私、島田さんと喋っちゃった……!
さっきの彼、島田雅之さんは私がいる課の隣の課の課長さん。30歳、独身。見た目は爽やかで優しそうなイケメン。その上物腰が柔らかくて親しみやすい。女子社員から人気があるのは当然。……もちろん私も、入社当初から憧れていたりする。
憧れてはいるけれど、特に何かしているわけではない。島田さんを狙っている先輩は多いし、そんな人たちに目を付けられたらこの会社では生きていけない。だから見ているだけ。こんなラッキーがないと、話すことすらなかなかできない人なのだ。