スローラブ
第1章 変わった人
「……っ」
こういう時って怖すぎて声も出ないもので。固まる私に、大胆にも男は近づいてきた。これって、ヤバいよね。私は動こうとしない足を必死に動かして玄関に向かった。そして鍵を開けた瞬間、腕を捕まれる。
「逃がさないよ」
身体中を寒気が襲った。助けて、誰か……!何とか手を伸ばしてドアを開けた。
「助け、て……!」
そう言った瞬間、後ろから口を塞がれる。あぁ、もう終わりだ……。そう諦めかけた時、閉じかけたドアが思いっきり開いた。
「……っ」
外の廊下の電気が目に入る。ドアの前に立つ人はシルエットになってよく見えなかったけれど。髪がモジャモジャしているのだけが見えた。その人は私の後ろに立つ男の頭を持っていた荷物で殴った。それは相当重いものだったらしく、男はよろけた。その隙に私の腕を引っ張って自分の背中に隠す。
「警察呼べる?」
「っ、は、はい……」
私は震える手で彼から携帯を受け取り、110番に電話をかけた。彼は復活して向かってきた男を華麗な動きであっという間に押さえ込んでしまった。床にうつ伏せで押さえ付けられた男の上に彼が馬乗りになる。男はじたばた動いたけれど両手を後ろで掴まれているためどうにも出来ず、彼は片手でネクタイを外すと男の両手を縛った。
何とか冷静になって110番で事情を話し、電話を切って彼に返す。
「あっ、あの、助けてくださってありがとうございます」
「うん。忘れ物してよかった」
そう微笑んだ彼に、少しだけときめいた。しばらくして警察が来て犯人は捕まった。そして私とお隣さんも事情聴取のため近くの警察署に行くことになった。
こういう時って怖すぎて声も出ないもので。固まる私に、大胆にも男は近づいてきた。これって、ヤバいよね。私は動こうとしない足を必死に動かして玄関に向かった。そして鍵を開けた瞬間、腕を捕まれる。
「逃がさないよ」
身体中を寒気が襲った。助けて、誰か……!何とか手を伸ばしてドアを開けた。
「助け、て……!」
そう言った瞬間、後ろから口を塞がれる。あぁ、もう終わりだ……。そう諦めかけた時、閉じかけたドアが思いっきり開いた。
「……っ」
外の廊下の電気が目に入る。ドアの前に立つ人はシルエットになってよく見えなかったけれど。髪がモジャモジャしているのだけが見えた。その人は私の後ろに立つ男の頭を持っていた荷物で殴った。それは相当重いものだったらしく、男はよろけた。その隙に私の腕を引っ張って自分の背中に隠す。
「警察呼べる?」
「っ、は、はい……」
私は震える手で彼から携帯を受け取り、110番に電話をかけた。彼は復活して向かってきた男を華麗な動きであっという間に押さえ込んでしまった。床にうつ伏せで押さえ付けられた男の上に彼が馬乗りになる。男はじたばた動いたけれど両手を後ろで掴まれているためどうにも出来ず、彼は片手でネクタイを外すと男の両手を縛った。
何とか冷静になって110番で事情を話し、電話を切って彼に返す。
「あっ、あの、助けてくださってありがとうございます」
「うん。忘れ物してよかった」
そう微笑んだ彼に、少しだけときめいた。しばらくして警察が来て犯人は捕まった。そして私とお隣さんも事情聴取のため近くの警察署に行くことになった。