まどろみは君の隣で
第1章 安全なラブソング
バイトが終わり、暗い夜道を透くんに言われた通りすぐに透くんに電話できる状態にして持ったまま歩く。時刻は22時過ぎ。まだそんなに遅い時間ではないけれど、そうしないと透くんに怒られてしまうから。
始めのうちは透くんが毎日送り迎えすると言ってくれていたのだけれど、それはさすがに申し訳なくて断った。透くんには透くんの生活がある。無理やり居候している私が言えることじゃないのは充分分かっているけれど。
週末、英太くんが来るのは何時頃だろう。早い内に泊まらせてくれる友達を見つけておかないと。そんなことを考えていたからだろうか。突然手の中の携帯が震え出し、驚きすぎてそれを落としかけた。ディスプレイを見て、落としておけばよかったと思った。携帯なんて持っていなければよかった、と。
今井英太の文字が光る。その下に、眺めすぎてもう覚えてしまった電話番号。バクバクと嫌な音を立てる心臓。私はそれを誤魔化すように走った。
始めのうちは透くんが毎日送り迎えすると言ってくれていたのだけれど、それはさすがに申し訳なくて断った。透くんには透くんの生活がある。無理やり居候している私が言えることじゃないのは充分分かっているけれど。
週末、英太くんが来るのは何時頃だろう。早い内に泊まらせてくれる友達を見つけておかないと。そんなことを考えていたからだろうか。突然手の中の携帯が震え出し、驚きすぎてそれを落としかけた。ディスプレイを見て、落としておけばよかったと思った。携帯なんて持っていなければよかった、と。
今井英太の文字が光る。その下に、眺めすぎてもう覚えてしまった電話番号。バクバクと嫌な音を立てる心臓。私はそれを誤魔化すように走った。