まどろみは君の隣で
第1章 安全なラブソング
ガチャガチャと大きな音を立てて鍵を開ける。そして中に入るとドアを閉めてその場に座り込んだ。電話はとっくに切れているのにいつまでも震えているような気がする。ハァハァと肩で息をしながら胸を押さえた。
痛い。痛い。胸が、痛い。
本当に、本当に大好きだった。それこそ小さい頃から。私は当たり前のように信じていた。いつか英太くんの隣に自分が立てることを。いつか、英太くんのお嫁さんになるという子どもの頃の夢が叶うことを。
全部全部、独りよがりだった。英太くんは私のことなんか好きじゃなかった。私よりも色っぽくて、綺麗な人を好きになった。私のことを妹みたいな奴だと彼女に紹介した。顔を歪める私に気付きもしなかった。彼女のことしか、見ていなかった。
助けて、と。誰かこの暗くて狭い場所から助け出して、とそう叫んだ。失恋なんて誰もが経験することだと言われても納得できなかった。十数年大切に大切に育てた想いだったから。
「しぃ?」
顔を上げると明るい光の中に透くんが立っているのが見えた。透くんがいたのだから当然電気が点いているリビングのドアを開けて私を見ている透くんが、唯一の救いのように思えた。
痛い。痛い。胸が、痛い。
本当に、本当に大好きだった。それこそ小さい頃から。私は当たり前のように信じていた。いつか英太くんの隣に自分が立てることを。いつか、英太くんのお嫁さんになるという子どもの頃の夢が叶うことを。
全部全部、独りよがりだった。英太くんは私のことなんか好きじゃなかった。私よりも色っぽくて、綺麗な人を好きになった。私のことを妹みたいな奴だと彼女に紹介した。顔を歪める私に気付きもしなかった。彼女のことしか、見ていなかった。
助けて、と。誰かこの暗くて狭い場所から助け出して、とそう叫んだ。失恋なんて誰もが経験することだと言われても納得できなかった。十数年大切に大切に育てた想いだったから。
「しぃ?」
顔を上げると明るい光の中に透くんが立っているのが見えた。透くんがいたのだから当然電気が点いているリビングのドアを開けて私を見ている透くんが、唯一の救いのように思えた。