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まどろみは君の隣で

第1章 安全なラブソング

「……透くん」
「どうした?」

 ペタペタとスリッパの音を響かせて私の横まで来た透くんに縋り付くように抱き着いた。逞しい透くんの腕が私をしっかりと受け止める。透くん。透くん。

「どうして私じゃダメなんだろう」
「……」
「透くんのこと、好きになりたかった」
「しぃ」

 名前を呼ばれて、顔を上げると同時。柔らかい唇が私の唇に触れる。透くんはすぐに離して私を見つめる。甘い瞳。ゴクリと喉を鳴らす私を、透くんは笑った。

「慰めてあげる」

 それは、甘美で淫らな誘惑だった。

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