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星が輝く夜に

第1章 プロローグ

 始まりは二時間前。高校の頃からの大親友であり社会人になった今ではルームメイトにもなったみやちゃんと飲みに来ていた。みやちゃんの本名は岩田みやび。地味で内気な私とは違い明るく活発な女の子だ。

「私もう一生恋なんてしない……」

 二月に5年間付き合った彼氏と別れてから、みやちゃんの口癖はこれになりつつある。5年付き合って結婚も意識し始めた頃に、彼に浮気なんてされたらそりゃあそうなるよね。あああ、とテーブルに突っ伏したみやちゃんの背中を撫でた。

「ところで、あんたはどうなのよ」
「うっ」

 突然矛先が私に向く。みやちゃんは基本的に優しいけれど、お酒を飲むと説教臭くなる。その時のみやちゃんはとにかく私の恋愛についてツッコんでくるので恐縮するしかない。

「な、なにもないです……」
「やっぱりな!私があんたの恋愛について聞いたのは高校生の頃の根岸くんだけだよ。しかも何もせず見てるだけ!」
「うっ……」
「あんた一生処女でいるつもり?!」

 そ、そんなことハッキリ言わなくても……!みやちゃんの言う通り、私辻七瀬22歳。処女です。

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