テキストサイズ

星が輝く夜に

第1章 プロローグ

 もちろん初めて入ったラブホテルをキョロキョロ見渡す私とは違い、彼は落ち着いた様子で部屋を選んでいた。そして、「ここでいい?」とまたさっきと同じ台詞を言って、私も同じように首を縦にブンブン振った。繋いだ手の汗が酷い。今まで未知の世界だったラブホテルの室内に入った私の感想。

「す、すご!!見て関くん!!テレビでか!お風呂は……うわー!広い!あのマット何だろう?あ、あ、あ!ベッド大きいピンクだー!!」
「ははっ、そうだね」

 ……はしゃぎすぎました。関くんはソファーに座って既に寛いでいる。慣れているであろう関くんの態度と、初めてのラブホテルにはしゃぎ過ぎた私。……私のほうが年上なのに恥ずかしい。

「お風呂入る?」
「えっ、一緒に?!」
「……別に、一緒に入ってもいいけど?」

 ニコッと笑われて、また恥ずかしさに泣きそうになる。関くんは少し意地悪だ。

「は、入ってくる!」

 真っ赤なまま、私は洗面所に入った。シャワーを浴びて、とにかくムダ毛がないかをチェックする。本当にするかは分からないけれど、一応エチケットとしてね?……だがしかし、やる気満々である。私は本当にこのまま処女を捨てるのだろうか。少し怖いし、不安だし、後悔するかもしれないけれど。知ってみたい。男の人に抱き締められる感覚。キス。そして、それ以上も。ここまで処女だったのだから本当に好きな人と初めては終わらせるべきなのかもしれないけど、私の場合特にこだわって処女でいたわけじゃないし、ただチャンスがなかっただけだし。
 ……いいや。私今日、処女卒業しよう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ