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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第6章 メゾンボナール305号室

3

深夜1時。
夜は怖い。フラッシュバックのように、殺されそうになったあの日のことを思い出すことがあって、そうなるとなかなか寝付けなかった。

もう痛まないはずのみぞおちが、キリキリと締め付けられて、息ができなくなると、布団から起き上がった。

肩で息をしながら整える。

「大丈夫、大丈夫……」

静かな部屋。声に出して言ってみると、わたしの声は静寂に吸い込まれていった。
見知ったはずの部屋が、知らん顔するかのように、何一つわたしの知っている景色じゃなくなるような、そんな感覚になる。
たまらなく不安になって、枕を持って部屋を飛び出る。
優と春ちゃんがいる部屋の扉は、隣だ。コツコツと控えめに叩いた。

「はーい」

返ってきた、間延びした返事に泣きそうになりながら、扉を開けた。

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