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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第7章 隠しきれないもの

「咲、頑張ったね」

春ちゃんは手袋を外すと、わたしの頭をそっと撫でた。肩で息をして、同時に物凄い眠気がわたしを襲ってくる。

「……イったな。腟内の血塊もなんとか取れた。子宮内は、病院でエコーしてみないとわからん」

「咲には、ちょっと酷だったね。子宮にも溜まってたらかわいそうかも。機械使うことになったら……」

「ああ。そうなってもやむを得ん。春斗、明日休みだろ? 咲連れて病院来い。早いうちに早乙女先生に見てもらった方がいい」

「うん……。連れ出すの大変かも」

明日……病院……? サオトメ先生って誰……?
2人の声が遠くなっていく。
疲れて、何も言葉にならない。2人の言葉が断片的に理解できるが、声が出ない。
何の話をしているんだろう……。

なんだか、ふわふわしてきた…………。

わたしは意識を失うように、眠りについていた。

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