テキストサイズ

優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第8章 本当の話をしよう

「咲、ありがとうね」

咲は、笑顔で大きく頷いた。
微笑みながら、咲の頭を撫でた。
温かい。その温かさが、生きている証拠だ。
クマのぬいぐるみを抱きしめる、その小さな体が、愛おしくて仕方なかった。

俺は今、泣きそうな顔をしていないだろうか……?

最初は、優の妹として保護する目的で、一緒に暮らし始めたはずだった。
でもいつの間にか俺も優も、救った命に、自分たちの心を救われている。
……3人で暮らせて良かったんだと思う。

できるだけ、長く、この時間が続けばいい。

そんな願いを込めながら、夜空を見上げていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ