優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第8章 本当の話をしよう
「……優、忘れてない? 咲、早乙女先生の治療から1ヶ月だよ。生理来るよ、今週末には」
まだまだ幼児。そう評された咲でも、体は大人になりかけている。
そろそろ、早乙女先生に言われたことをやらなきゃいけない日が来る。
もう1ヶ月か……。
わかってはいたが……。
ため息をひとつ。
「気が重いな」
「大暴れ間違いなしだね」
そう言うと、春斗は腕を離して、俺に背を向けてため息をついた。
これに関しては、春斗も気が重いようだった。
今日が咲にとって楽しかっただけに、再発防止のための治療を毎月突きつけるとなると、それなりにきつい。
「毎月のことになるからな、上手く話さなきゃだな……初回は手荒になるかもしれないけれど。慣れてもらわんと」
「きついねぇ…… まぁ、頑張りますか」
考えながら目を閉じる。
ここでした応急処置の治療も、早乙女先生の治療も、抵抗のしようがすごかった。
中身はまだまだ子どもとはいえ、それなりの恥ずかしさだってある。
夏休み前のつらい治療。
頑張ったら、夏休みはどこか連れて行くか……。
密かにそんなことを考えながら、眠りについた。