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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第9章 アメとムチと無知


1

夏休みに入る前に、通知表が渡された。
当然、学校で配られたから、春ちゃんはその中身を知っている。
優が帰ってきてから、通知表を渡して見せた。
春ちゃんが一瞬だけ井田先生になる。

「咲、今回の理科はクラス1位だった。結構難しく作ったのに、ここまで点数取ったのは普通にすごいと思うよ。入院していたことを差し引いても、頑張った方だと思う」

「すごいな。よくやったな。『5』が多いなぁ」

優の大きな手が頭に伸びてきて、私の頭をワシャワシャと撫でる。2人に褒められて、頬が緩んだ。
わたしの成績はほぼ全教科、5段階評価の最高、『5』が並んでいた。
今までどんなに良い成績でも、褒められたことがなくて、素直にそれが嬉しい。

「へへ」

照れながら笑っていると、優の目がある一点で止まる。


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