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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第10章 夏の訪れ

優の体温が、触れられた頭からじんわりと伝わってくる。なんとなく安心していた。
優もそのまま、もう一度眠りにつく。
わたしはゆっくりと頷くと、目を閉じた。

昨日の優は厳しかった。澤北先生だったからかもしれない。

『……それなら、海は連れて行かん。頑張れないと、連れて行かない』

優に言われた言葉を思い出していた。
つらくなるわたしを見たくないとも言っていた。
結局押さえられながら、治療は終わって寝落ちしてしまったけれど、わたしは海に行けるんだろうか……。

一度起きてしまうと目が冴えて、2度寝をしようとしても、眠りは来ない。
今度は、春ちゃんの方からアラームの音が鳴った。響く前に音が止まる。ちょうど5時半だった。
春ちゃんは、いつも、わたしや優を起こさないように、すぐにアラームを止めているようだった。

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