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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第10章 夏の訪れ

結局、旅行というのもあって、最終的には優が折れた。
3人で乾杯をして、食事に手をつけ始める。

春ちゃんは食べながら飲むと、少しは酔うのが遅くなるようだった。
わたしはお酌の係を引き受けて、2人の間をとっくりを持って、行ったり来たりを繰り返す。
優に言われて、春ちゃんには少なめに注ぐと、駄々を捏ねられた。

「えー!咲、少ない…………」

「だめっ! 優に怒られちゃうよ」

いつもと立場が逆転して、おもしろい。
ちょびちょびと注いでいると、春ちゃんが耳打ちしてきた。

「お願い、もう少し。後で売店でアイス買ってあげる」

そう言われて、気持ち多めに注ぐと、優が呆れたように笑っていた。

「よく釣れるのはわかるが、もので釣るな!」

「よく釣れるって!」

わたしは頬を膨らませる。
それを見た春ちゃんは笑いながら、わたしに同意を求める。

「ひどいよねぇー?」

「ねー!」

わたしと春ちゃんが仲良く顔を見合わせているのを見て、優も笑っていた。

「ねー!じゃない、釣ろうとした春斗が悪い」

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