優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第10章 夏の訪れ
「春ちゃん、今日は飲んだら? いつも頑張ってるし」
わたしは、風呂上がりの春ちゃんが畳に寝っ転がっていたのを思い出していた。旅行だし、春ちゃんは働き者だ。いつもはお酒も我慢してくれているのかもしれない。
そう思ったら、春ちゃんのことを庇わずには居られなかった。
「咲〜! 大好き! 良い子に育ったね……」
春ちゃんはわたしに抱きつく。
さっきよりお酒が回ったようで、体温が高い。暑苦しくて苦笑いしていると、優にとっては火に油だったようだ。
「咲! 甘やかすな! 大変なんだぞ、春斗の下戸具合は……!」
「ね、少しずつ飲むから。日本酒とか」
「あほ! 当たり前だ、日本酒をがばがば飲むやつがおるか!」