優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第10章 夏の訪れ
「咲。咲がうちに来てくれてよかった。ありがとう」
わたしはお風呂で考えていたことを思い出していた。こんなに幸せにしてもらって、わたしになにができるだろう。ずっと考えていたことに、答えのようなものが少しだけ見えた。
そんなことで良いのかな……少しだけ躊躇われるけれど、今のわたしにできることはただ1つだ。
「優、春ちゃん、ありがとう。これからも一緒にいさせてね」
わたしは、ゆっくりと目を閉じた。
「当たり前だ」
「うん、飽きるまで一緒にいるよ」
2人にぎゅっと抱きしめられながら、その温かさに頬が緩む。
わたしは心地良さに身を委ねた瞬間から、ゆっくりとゆっくりと、眠りに落ちていった。