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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第11章 落し物に気づく時

「大丈夫……?! 代わるよ」

ショートカットの聡明な顔をした女の子だった。
肩を支える手を、男の子と交代する。

「ゆっくり座ろう」

青ざめるわたしの顔を見て、一緒にしゃがんでくれた。
わたしの周囲が少しずつざわめき出す。
彼女は、わたしが下腹部を押さえていることを気にかける。周りに聞こえないように、耳打ちするように言ってきた。

「もしかして、生理……?」

コクコクと頷く。
丸まったわたしの背中を、さすってくれた。

「大丈夫、大丈夫。しんどいよね」

小さな手だったが、まるでカイロのように温かくて泣いてしまいそうだった。自分の痛みをわかってくれる子がいたことに、安心した。
心底、よかったと思う。

彼はすぐに、介抱を彼女に任せる方が良いと判断した。

「……俺、先生呼んでくるわ」

列から抜け出すと、さっと走り出す。

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