優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第11章 落し物に気づく時
説明しながら作業をするうちに、畑にいる井田先生を見つけた。遠くから手を振ると、井田先生も気づいて大きく手を振る。
井田先生はわたしの後ろにいた、角村さんに気づいた。
「……ん? あれ、角村さん、どうしたの?」
「動物のお世話してみたいって〜」
井田先生に近寄りながら、大きな声で伝える。井田先生と合流したところで、先生は嬉しそうに笑った。
「おー!仲間が増えるのは大歓迎」
角村さんがぺこりと頭を下げた。
わたしはその様子をにこにこと見守る。
「よろしくお願いします」
「今日は、やること終わっちゃったから、明日から手伝ってもらおうかなぁ。制服より体操着の方がいいよ」
井田先生は大きく伸びをして、腰を伸ばす。畑仕事は重労働だ。
「先生はそろそろ歳だ。ぎっくり腰とかやっちゃいそうで怖いんだ。仲間増やさないととは思ってたんだけどねぇ〜」
井田先生はそう言いながら、校舎の方へと歩いていく。
わたしと角村さんは、顔を見合わせて笑った。