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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第11章 落し物に気づく時

それにしても、学年一イケメン。よかった、隣のクラスに乗り込まなくて。告白沙汰で大騒ぎになるところだった。

ん? え、まって……こ、告白……?
いや待って、どう思われようと、関係ないじゃん? わたしはお礼を言いたいだけなんだから。

自分で自分の思考を見失いそうになって、焦り始める。
やばいやばい。顔が赤くなりそう……。何考えてるんだろう……。

「樫木くんとわたし、去年も同じクラスだったから」

「え、うわっ、そうなの?!」

「うわって、さっちゃん、なんでそんなに焦ってんのさ」

いっちゃんが、笑い出す。
なにかとてもおかしかったらしい。お腹を抱えて笑っていた。

「ご、ごめん。なんかみんな、い、井田先生のクラスだったんだなぁって」

「そうだね。もしかして、井田先生ってさっちゃんの天敵なの?」

「いや、そうではないんだけれど……!」

うん……、春ちゃんに名前、聞かなくてよかった。この時点で、自分の選択が正しかったことを悟る。
しかし、ほっとすると、墓穴を掘るスピードは格段に上がる。

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