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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第12章 ふたりの憧れ

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今日は、春斗が職場の飲み会で、帰りは9時頃になると言う。今、家では咲が1人で留守番をしている。
1人で家にいるのも寂しいだろうと思って、なんとか早く上がろうと試みたものの、時刻は午後8時を過ぎていた。

途中、コンビニに寄って、夕食になりそうなお惣菜と遅くなった詫びも込めて、おやつを見繕う。

「ただいま」

帰ってくると、リビングの明かりだけが点いていて、咲の姿が見当たらなかった。
いつもは玄関に顔を出す咲が来ない。

部屋か? そう思って部屋の扉をノックするも、返事はなく、中は真っ暗だった。

「咲……?」

気配のしない空間に、声をかける。
俺の声しか響かないリビングに、気味悪さすら感じていた。
時計の秒針の音が、耳元に迫るように大きく聞こえる。

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