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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第12章 ふたりの憧れ

「……春ちゃん……上手だね」

読み終えた後に呟くと、春ちゃんは満足そうに笑いながら言った。

「意外かもしれないけど、優の方が上手だよ。あの人、今でも現役だし」

「現役?」

「そ。当直の時に、眠れない子を探しては、絵本読んで回ってるの。寝ん子は居ねかーって」

「……なにその、なまはげみたいな探し方」

「優に言っちゃお、咲がなまはげって言ってたって」

「ずるい、春ちゃんがなまはげに寄せたんじゃん」

幾分か元気になって、軽口の応酬もできるようになった。一日中、春ちゃんと部屋で過ごしながら、色んなことを話していた。
学校の庭の植物だったり、春ちゃんと優の学生時代のことだったり。

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