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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第12章 ふたりの憧れ

わたしは春ちゃんと話しながら、自分の体力が戻ってきていることを感じて、きいてみる。

「ねーね、明日、学校行ける?」

明日は、いっちゃんとお弁当を食べる約束をしている。
まだ剥がすことのできない、額の解熱シートを張り替えながら、春ちゃんは言った。

「うーん、どうかなぁ。優と相談。休めって言うかもしれないし」

新しいシートは、ひんやりして気持ちいい。
良くはなってきたけれど、学校で過ごせるほどは良くないかもしれない。そう思っていたので、少し諦めている。

「……行けなかったら、いっちゃんに休みって伝えてほしい。お弁当一緒に食べる約束してたの」

「そうなの? じゃあ、行けるようになったら、気合い入れて弁当つくんないとね」

「いいよ、気合い入れなくて。春ちゃんが作ってるとは知らないし」

「じゃあ、日の丸弁当」

「なんでそんな極端なのさ」

「冗談。咲が角村さんと仲良くなって、嬉しいからだよ」

夕食では、少しだけお粥を口にすることができて、薬もちゃんと飲めるようになり、ほっとしていた。

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