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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第12章 ふたりの憧れ

仕事から帰ってきた優が、真っ先にわたしの体の調子を診ながら訪ねてくる。

「顔色良さそうだな。今日、何してたんだ?」

「春ちゃんが絵本読んでくれた」

事実を伝えると、年相応ではない応え方になってしまった。耐えきれずに優が吹き出す。
目元にクシャッとシワがよって、本当におかしそうな顔をした。

「……子どもか」

わたしは膨れながらも釣られて笑ってしまう。

「違うよ、春ちゃんが読みたがってたんだよ」

「……ふーん。春斗が。あいつ、病院いた時、寝ない子ハンターだったからなぁ」

「なに、寝ない子ハンターって」

耐えきれずに声を上げて笑うと、優もまた笑う。

「そのまんまの意味だよ」

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