優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第13章 定期検診のお知らせ
「うん、咲が思っているより大丈夫だよ。……なんたって、医者と私立教師だからね」
「おい、あんま生々しいこと言うな」
「てへ」
優が春ちゃんの頭に軽くチョップを落とす。
春ちゃんがおどけたように舌を出して、おもしろくなって笑ってしまった。
優はそんなわたしを柔らかい眼差しで見ながらそっと頭を撫でる。
「咲がやりたいと思うこと、やってほしい。大学もひとつの道だと思って考えてくれればいい」
わたしは植物図鑑に目を落とす。
……やってみたいこと。
自分の胸に問うように、静かに頷いた。
日曜日の夜は、日曜日の夜らしく、3人の時間をつくりながら、静かに穏やかに過ぎていった。