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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第13章 定期検診のお知らせ

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月曜日の夜、部屋にこもって勉強していた。
そろそろ中間テストもあるし、昨日、優に言われた大学のことも気になっていた。
いろんなことを考えるのは、高校に上がってからでも遅くはなかったが、いま、やれることは全部やっておきたい。
本棚に、教科書と一緒に立てかけた植物図鑑が目に入る。

自分のために。

優から授けてもらった言葉を思い返しながら、数学の問題を解く手を止めなかった。

どれくらい時間が経ったかわからなかった。
扉をノックする音で、はっと我に返る。

「咲、入るぞ」

「あ、うん」

机から振り向くと、優が立っていた。
スウェットに姿なのを見ると、もう寝る時間が近づいているらしい。
すっかり忘れて勉強していたし、様子を見にきたのかな……?
そう思って首を傾げると、優が口を開いた。

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