優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第15章 文化祭(後編)
1
話は、1年前に遡る。
俺は、中等部1年3組を受け持っていた。
由貴と角村さんの担任をしていたときだった。
由貴のことは、入学して間もなくした頃から、気にしていた。生活記録ノートは全く提出されず、注意してもいつも、どこかすましたような顔をしているような生徒だった。
スラッと伸びた身長と、早くもあどけなさが抜けてきた横顔。彼に惹かれる生徒は多かった。
しかしあまり笑わず、凛としていて、高嶺の花のように人を寄せつけない。
クラスに馴染めないというよりは、由貴の方からクラスを拒むような、そんな印象を受けた。
暑くなってきた7月。衣替えもすっかり済んだというのに、由貴は長袖のシャツを控えめにまくるだけで、決して半袖を着ようとしない。
袖の下に何かを隠していることに、気づいていた。
話は、1年前に遡る。
俺は、中等部1年3組を受け持っていた。
由貴と角村さんの担任をしていたときだった。
由貴のことは、入学して間もなくした頃から、気にしていた。生活記録ノートは全く提出されず、注意してもいつも、どこかすましたような顔をしているような生徒だった。
スラッと伸びた身長と、早くもあどけなさが抜けてきた横顔。彼に惹かれる生徒は多かった。
しかしあまり笑わず、凛としていて、高嶺の花のように人を寄せつけない。
クラスに馴染めないというよりは、由貴の方からクラスを拒むような、そんな印象を受けた。
暑くなってきた7月。衣替えもすっかり済んだというのに、由貴は長袖のシャツを控えめにまくるだけで、決して半袖を着ようとしない。
袖の下に何かを隠していることに、気づいていた。