テキストサイズ

優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第4章 それぞれの午後7時

焦点の合わない目でわたしのことを捉えて、千鳥足で近づいてくる。
今日は、大量に酒を飲んでいるようだった。
奥の部屋で散乱している安酒の缶が、ひと目で10本ほど転がっていた。

「……んだよ、遅かったじゃねぇか」

肩を強く押されて、よろめき、その場に転んだ。
大人の男の力には敵わない。
立ち上がらないと……
そう思うより先に、男が右足を、思いっきりわたしのお腹に振りかぶった。


衝撃に、息が止まる。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ