優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第16章 3人の年越し
「来年の4月には……実家に戻る……」
これは、春斗の決断。
「優、もう少しお酒欲しい」
春斗が空いたグラスを振りながら微笑む。
「はいはい」
呆れたように立ち上がると、冷蔵庫を開けて、チューハイを持ってくる。春斗にこれ以上ビールは無理だ。
空いたグラスに、度数の低い酒を少し注ぐ。
……春斗が好きなお酒。
「きゃー! 優、わかってるね、ありがとう!」
どこから出してるのか、黄色い声を上げながら酒で温かくなった春斗が俺の首に手を回す。
熱い抱擁を受け止めながら、既に後悔し始める。
幾度となくこうなって、後悔しているはずなのに、酒を注いでしまうんだから詰めが甘い。
「わ、もうやめろって……! 今夜だけだからな」
呆れながら笑う。春斗までとはいかないが、少し酔いが回ってきて、春斗のだる絡みがどうでも良くなってきてしまった。
「うわ、イケメンのセリフじゃん」
酔い潰れる寸前かと思った春斗の意識が意外とクリアで、軽口を叩く。
「もうそんな歳じゃないだろ」
「ってことは、若い時はイケメンの自覚あったんだね」
「……つい最近まで教師でいちばんイケメンだって自負してたお前には言われたくない」
「残念でした、現役なんです〜」
「うわ……引くわ、ドン引き」
「はい、ドン引きいただきましたー!」
久しぶりに2人で酒を飲む。
「ふふ、温泉で咲をお酌係にしてたの、懐かしいねぇ」
そこにはしっかり、咲の影もあって。
俺だって、この生活を手放すのは怖い、春斗。
声には出さずに心の中で呟く。
2人が不安になる分、俺が不安になってはいけない。いつからかそう言い聞かせながら過ごしてきた。
さて、咲にはなんて言おうか……
頭の片隅で考えながら、新年が迫る部屋で酒を飲んだ。
これは、春斗の決断。
「優、もう少しお酒欲しい」
春斗が空いたグラスを振りながら微笑む。
「はいはい」
呆れたように立ち上がると、冷蔵庫を開けて、チューハイを持ってくる。春斗にこれ以上ビールは無理だ。
空いたグラスに、度数の低い酒を少し注ぐ。
……春斗が好きなお酒。
「きゃー! 優、わかってるね、ありがとう!」
どこから出してるのか、黄色い声を上げながら酒で温かくなった春斗が俺の首に手を回す。
熱い抱擁を受け止めながら、既に後悔し始める。
幾度となくこうなって、後悔しているはずなのに、酒を注いでしまうんだから詰めが甘い。
「わ、もうやめろって……! 今夜だけだからな」
呆れながら笑う。春斗までとはいかないが、少し酔いが回ってきて、春斗のだる絡みがどうでも良くなってきてしまった。
「うわ、イケメンのセリフじゃん」
酔い潰れる寸前かと思った春斗の意識が意外とクリアで、軽口を叩く。
「もうそんな歳じゃないだろ」
「ってことは、若い時はイケメンの自覚あったんだね」
「……つい最近まで教師でいちばんイケメンだって自負してたお前には言われたくない」
「残念でした、現役なんです〜」
「うわ……引くわ、ドン引き」
「はい、ドン引きいただきましたー!」
久しぶりに2人で酒を飲む。
「ふふ、温泉で咲をお酌係にしてたの、懐かしいねぇ」
そこにはしっかり、咲の影もあって。
俺だって、この生活を手放すのは怖い、春斗。
声には出さずに心の中で呟く。
2人が不安になる分、俺が不安になってはいけない。いつからかそう言い聞かせながら過ごしてきた。
さて、咲にはなんて言おうか……
頭の片隅で考えながら、新年が迫る部屋で酒を飲んだ。