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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第17章 願いごと

「2人で行ってらっしゃい……俺は留守番してるから。元旦の初詣、すんごい人多いと思うから、優の手ちゃんと繋いでなきゃだめだよ」

そう言われて、夏祭りのことを思い出していた。
音も光も溢れて、わくわくしていた日。
あの時は楽しかった。だからこそ、3人で出かけられないのが惜しい。

「3人で行きたかった……」

わたしが少し食い下がると、優がわたしの頭に手を置いた。

「仕方ない。また後でだな。3人で週末にもう1回行こう」

「うん……」

渋々頷くと、優に頭をぽんぽんと撫でられる。

「咲、暖かくしていくんだよ。マフラーと手袋、洗濯しといたの、そこにかけてあるからね」

春ちゃんは目を瞑って横になりながらわたしに言う。
二日酔いでもいつも通りだった。

「はーい、ありがとう!」

洗ってもらった手袋とマフラーをしっかり身につける。あったかい。


そうして、わたしと優はふたりで家を出た。


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