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優しく咲く春 〜先生とわたし〜

第17章 願いごと

境内に入ると、人は散り散りで、お参りのために並んでいる人もそこまで多くはない。

順番が回ってきて、優と2人、横並びになる。

「……やり方、わかるか?」

優に小声で訊かれて、首を横に振った。

「真似して」

言われて、今度は縦にうなずく。

優が隣でする動作を見ながら、ぎこちなくぺこぺこしたり、お賽銭を入れたりする。

手を叩いて……
優が、目を瞑って静かに手を合わせる。

それを見て、ようやくわたしも何か願いを心に浮かべなくてはいけないことがわかった。
突然訪れたその時間に、手を合わせながら焦っていた。





願いごと……願いごと……えっと……




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