優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第18章 揺れる日々
「じゃあ、咲ちゃん。下着を取ったら、椅子に座ってね。スカートはそのままでいいよ」
言われた通りに、ゆっくりと履いていたものを脱ぎとる。心臓が、ばくばくと音を立てて止まない。
治療前、優に同席してもらうか尋ねられたが、断った。苦しくて、苦しくて、もがいている姿を誰にも見られたくなかったからだ。
「じゃあ、動いていくからね」
座ったのを確認すると、ゆっくり椅子が動き出して……カーテンの向こう側に、足が消えていく。
背もたれが倒れて、大きく足が開かれる。強制されたその動きに、お腹の上でギュッと両手を握った。
「足、少し固定させてね。動いちゃうと危ないから」
そう言われて、両足首と太ももの辺りにマジックテープ状のバンドが巻かれる。きつくはないけれど、足は完全に動かすことができない……。
忘れていた機械の感覚を、生々しく思い出しそうになって、身震いして、慌てて首を振った。
まだ機械を使うとは決まったわけではないし……と、なんとか気持ちを保とうとする。
解放されてしまった大事なところに、早乙女先生の視線が注がれる。緊張で固くなっていると、声がかかった。
「これから、治療を始めていくよ。咲ちゃん、力まないで、ゆっくり息をしてみようか」
プルプルと恐怖で震える足に気を取られながら、言われた通りに息をする。
「うん、上手上手。そうやって最後までしっかり、呼吸していてね」
怖い。けどもう、やるしかない。
「最初は手で触っていくよ。ちょっと洗浄するね」
意識が、大事なところへ集中してしまう。
お湯がかけられて、タオルが陰部に触れる。おしっこが出るところから、おしりの穴まで、ゆっくりと拭き取られていく。
「んっ……」
タオルの刺激だけで、ビクッと足を震わせると、早乙女先生がふっと笑った。
「咲ちゃん、大丈夫よ。触っていくわね」
早乙女先生の細い指が、割れ目をゆっくりと擦っていく。微妙な刺激に声を我慢しながら、どうにか息をし続けた。
「っはぁ、っ、はぁ、あっ、っはぁ……」
「そうそう、呼吸上手よ」