優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第19章 エピローグ
拝啓
4月も中頃になり、ようやく暖かい日が続くようになりました。
お元気ですか。
学校で手紙の書き方を習ったけれど、試してみないままだったことを思い出しました。
遠くで暮らしている春ちゃんに、生まれて初めての手紙を書きます。
春ちゃんが九州に行って、優と2人で暮らし始めてから、もう1年が経つことにびっくりしています。
わたしも優も、元気です。
ティッシュを洗濯して、楽しくない時もあるけれど。
わたしは無事に進級できて、高等部に上がることができました。いっちゃんと由貴くんも進級しました。高校生になると休む暇もないくらい、テストが多くて大変です。
4月最後の土曜日には、模試があります。わたし、大学行けるのかなぁ。
動植物部も、継続しています。相変わらず部員は3人だけれど、楽しいです。今年は畑にトマトを植えます。トマトがカラスの餌にならないように、今から知恵を出し合っています。
困ったら、アドバイスちょうだいね。
今年の夏休みは、優が休みを合わせてくれて、九州に行こうかと相談していたところです。
飛行機は初めて乗るから少し怖いけれど、そんなに遠い旅行は初めてなので、今から楽しみです。
春ちゃんも、暇ができたら帰ってきてね。
待っています。
3人で過ごした日々が少し恋しくて、たまに大きいベッドで寝たりしていたけれど、今年からは高校生だから、少し我慢するつもりです。
それでは、体に気をつけて。
お元気で。
敬具
20XX年4月12日
白河咲
井田春斗様