優しく咲く春 〜先生とわたし〜
第5章 入院
その日の夕方、井田先生がお見舞いに駆けつけてくれた。
ぼんやりと目を開けるわたしを見ながら、心底ほっとしたように、笑顔で「よかった」と繰り返した。
それもそのはず、わたしは一度、心臓が止まってしまったらしい。通りかかった澤北先生と井田先生が助けてくれたと聞いて、感謝してもしきれなかった。2人がいなかったら、わたしは今頃、死んでいた。そう思うとゾッとする。
井田先生と澤北先生は、知り合いのようで、親しそうに話していた。
何か大事な話も混ざっているようで、時折、深刻な表情も見せる。
井田先生は、それから毎日、時間があるときにわたしの病室にやって来た。