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龍と鳳

第6章 前略、地球より

前略、ベガ様 アルタイル様

この度は、僕の勝手で多大なるご心配をおかけしましたことをお詫び申し上げます。
僕は今、地球に来ています。

当初、ジュン様がカササギのテストをされると知り、僕は大好きなお二人のお役に立ちたくて転送装置を使いました。

でも、ここに来るのは必然だったんだと解りました。
僕がいつまでも人形を取れなかったのは、生まれ故郷の星の気が不足していたからだったみたいなんです。
こっちに着いたら途端に成長が始まりました。
きっと本能の部分で、地球に行くことを求めていたんですね!



僕が居るのは、日本のとある地方にある2000m級のお山です。
鎮座していらっしゃる神様はとても神格が高く、空に向かって伸びる光の柱も太くてしっかりしています。
僕はいつもその柱を見上げながら、お二人の幸せを願っています。

今回は、お山の神様が天空の神様に頼んでくださるというので、メッセージを送っていただくことにしました。



こちらの神様はとてもユーモアのセンスがおありで、お仕えしている眷属たちも一風変わっているようです。
青龍の智が僕の面倒をみてくれています。

智は二形で、人形をとるとベガ様にそっくりなんです。
僕はキレイなベガ様が大好きだから、智のことも大好きになりました。

智はマイペースでほよんとしてて、ちょっと独特だけど。
笑うとふにゃふにゃになって、怒ると嵐を呼んで雷を飛ばします(滅多に怒りません)。

人形でいるよりも本性でいる方が好きだと言って、まだ飛べない僕を背に乗せて、空を泳いでくれるんです。

だけど一度落ちたことがあるので、それからは智に乗せてもらう時は人形を取るようにしました。
ふもとの里では、最近龍に乗った座敷童が出るとか、タツノ小太郎?がいるとか言われているらしいです。



空を飛ぶのは本当に気持ちが良くて楽しいのですが、智が時々僕が乗っていることを忘れてキリモミとかをするので、そういう時はお腹の奥がひゅぅってなります。

こわいよ~、って言うとすぐ気がついてくれるけど、もしかしたら面白がってわざとやっているのかもしれません。
でも僕が怖くて泣いてしまうと、いつも慌てて機嫌を取ろうとします。

お前だって鳳凰のくせに何が怖いんだよ、って笑われるので、僕も早く自分で飛べるようになりたいです。
なのに、なかなか体が大人になりません。


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