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龍と鳳

第7章 【鳳凰編】春、お山にて

「ん?」

「オレもう子供じゃねーし!
悪いけどそんなバカでもねーし!
つーか、おマメ扱いすんのホントやめてよねっ!!」

「は?」

わざと俺とは目を合わせないで反抗的に言ったかと思うと、最後に聞こえよがしにこう言った。

「バカなのは智の方だろっ」

おい、今、なんつっった??
言っていいことと悪いことがあるけど!!!

反抗期かと思って大目に見てれば、こんにゃろ~。
オイラだって怒る時は怒るんだかんな?

「確認だけど、それオイラに言ってんの?」

「…………」

「いくら鳳凰だ、つっても
まだ自力で飛べもしないお前が?
300年生きてる青龍のオイラに言ってんの?
俺、先輩だぞ」

「うっせー、智のバカ!!
オレがどんなに智のこと好きなのか知ってるくせに
いつまでも子供扱いすんじゃねーよ!
ひよっこに吸いつかれて甘い声で鳴いてるのは誰だよ!!
胸に赤い痣つけて神事とか言ってんなバーカ!!!」

あ、え、あざ、ってキスマークか???
え、うそ…。
甘い声って、誰が?
俺が?
う、お、えぇ???

「もういいよっ
オレが飛べるようになって他の奴のタマゴ産んでも知らないかんなっ」

「お~産め産め
タマゴでもなんでも産めるもんなら産んで見ろっ」

頭に来て突き放すと、翔は一瞬傷ついたような顔をしてからみるみる目に涙をためた。

あ、やば……。
言い過ぎたか?

「智のバカチンコ!!
家出してやる~~~~~!!!」

手に持っていた茶碗と箸を叩きつけるように置くと、翔は立ち上がって喚いた。

あ、お、いえ、いえで?

驚いたオイラが言葉を探してるうちに、足音も荒く座敷を出て行ってしまう。

え、と、何つってた?
家出……。

家出ぇぇぇ???





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