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龍と鳳

第8章 プリケツ

「智のバカチンコ…っく…
泣いてねーし…
オレ、あきらめないもんねー、っだ…
なんだよ、ふんっ
つまり飛べればいいんだろ?
飛べるようになってやるし!」

そんで智をびっくりさせてやるんだ。

「よしっ!!」

取りあえず、傍らにあった木によじ登る。

「とうっ!!!」

何回か木から飛び立つ練習をしてたら、繁みをかき分けて、突然人間がやって来た。

「あ…………」

ちょっと驚いたけど、興味があって、オレはしばらくジーッとそいつを見ていた。

悪い奴ではなさそうだし、オーラもキレイだ。
智と同じくらいの背格好で、オレを見てびっくりして固まってる。

色白の肌に薄茶の瞳が似合ってて。
でも、肉体が疲れてる様子で覇気がない。
あんまり元気じゃなさそうだ。
いんどあ派が無理して山に来ました的な感じ?

そうだ! いいこと思いついた!!

黄のオーラが強い奴は頭の回転が速いし、ひょうきんで機転も利く。
考えてみれば繁殖は人形でやるんだし、交尾について人間に訊いてもいいんじゃね?

そう思って話しかけてみる。

「ねぇねぇ、何してんの?」

「…………」

だけど、そいつは何だかあんまり嬉しくなさそうだった。

おかしいな、オレの姿が見えるなら、霊格は高いはずなんだけど。普通、オレを見た人間は、みんな嬉しそうに手を合わせるのに変じゃね?

ああ! 

そうか、こいつは神仏を信じてないタイプなのかな? 
いつも智が言ってるけど、多分、目に見えるものしか信じない怖がりな人間なんだな、きっと。

まぁ、いいや。
せっかく会ったんだ。
見た感じ大人に見えるから、繁殖のこともきっと知ってるだろう。

「あのさあ、おまえ、交尾のやり方知ってる?」

しつこく話しかけると、仕方ない、みたいにやっと返事がある。

「交尾、って、だから読んで字の如しじゃないの?
尾っぽを合わせるんだろ
知らないけど」

「おまえはしたことないの?」

「…………」

「尾っぽを合わせる、ってこう?」

そいつの背中に回って尻と尻を合わせた。
オレの方が背が低いから、爪先立ちになって尻を突き出す。

「こうかな?」

腰を左右に振ってプリプリと動かしてみた。
そう言えばお山の鳥たちも発情期が来ると良くプリプリしてるもんな。

背中合わせにそいつと腕を組んで、俺は一生懸命プリプリしてやった。


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