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龍と鳳

第11章 Fly for it!

鳳凰、って天狗みたいにまじないが使えるのか?
なんでオイラ、動けない?

固まっているうちに、唇が重なる。

「ん……」

今まで何度も寝込みを襲われてきた「口吸い」のイタズラとは全く違う、情愛のこもった官能的な舌遣い。

指で撫でられ続ける頬と耳。

あれ?ちょっと、オイラ、おかしい?
なんか、ぼーっとする……。
だめ、逃げないと……。

混乱したまま足を動かしたら、膝からガクッと力が抜けて体が落ちた。

翔が当たり前みたいにオイラの腋の下に腕を入れてグッと支える。

「大丈夫?」

「……へ? ……あ、だいじょ、ぶ……」

「ほんと? 顔真っ赤だよ?
体も熱いし、熱があるんじゃない?
もうお社に帰ろっか」

翔はこれまた当たり前みたいに、オイラの背中に手を当てて帰りを促した。

「今夜はうんと優しくするね」

翔が嬉しそうに言う。

「うん……」

うん?
深く考えないで返事をした後に言葉の意味がやってくる。

優しくする?

やさっ、優しくっ、って。
優しく何をするんだ?

翔が得意げに笑うと、またちゅっ、ってオイラに口づける。濡れた唇の感触に、下腹の辺りがきゅんと反応した。

あ、あの、えっと。

な、なんかオイラ、やばくないか?

抱きしめられたと思ったら、ふっと大地の感触がなくなって。慌てて本性を解き放つ。

隣で鳳が羽ばたく音を聴いた。

闇を祓い穢れを燃やす翼持つものの王。

横目にこっそり見た翔は、本性にふさわしく、とても美しかった。



FIN.

GW編ここまで

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