龍と鳳
第11章 Fly for it!
「ニノ、怖かったでしょ、ごめんね」
唖然として言葉が出ないオイラをよそに、翔は人の子の傍らに膝をつくと、語り掛けながら頭をそっと撫でた。
その顔がまた、これまで見せたことがないような表情で。
この人間を慈しむ気持ちが伝わってきて、これまでのガキンチョだった翔と同じ存在とは思えないくらいだ。
「ニノ、上からおまえを捜してる人の子が見えたぞ
あれがアイバサンだろ?
こっちに向かってる
あいつイイ奴だな~
たくさんの神仏に守られてるのがオーラでわかるぞ
もうすぐここに来るから、何も心配いらない
びっくりさせてゴメンな?」
ああ、確かに。
愛しいものを必死に探す人の子の気配が近づいてる。
オイラ達の姿を見られて騒ぎになっても面倒だな。
「翔」
「うん」
気を取り直して呼びかけると、それだけでオイラの意を察した翔が阿吽の呼吸で応じた。
ニノ、と呼んだ人の子から「すまほ」がブーブー言う振動が伝わって来る。
「じゃぁ、ニノ、元気でね
困ったことがあったら呼んで
俺、今日のお礼に、すぐに飛んでくから
俺のこと守ろうとしてくれて、ありがとな」
名残惜しそうに翔が言ったのを機に、オイラ達は気配を消す。人の子には見えない距離までジャンプして移動するのにも、翔は楽々とついてきた。
やがて現れたアイバサン? とニノ? が去って行く姿を見送って。
ていうか……。
オイラは二人を見送る翔が不思議で、じーっと見てて。
「ん?」
視線に気づいた翔が、オイラに微笑む。
「……ん」
何でもない、って目を逸らしながら、なんでオイラが目を逸らすんだ?と思う。
首筋がカーッと熱くなるのが自分でわかる。
「智」
今までよりも高い位置から呼びかけてくる声が、低くて甘い。
見上げるオイラは、何故だか胸の鼓動が早くなる。
「智、今朝はごめんね」
腕が伸びてきて、手の平がオイラの頬をそっと包んだ。
「……あ、け、さ?」
耳元で囁やかれる声にオイラは棒立ちになる。
え、っと……。
「俺ね、大人になった瞬間わかったの
智に会うためにここに来た、って
智は俺の大事な、大事な番(つがい)
もう絶対に離れないからね
ずーっと大切にする」
目を細めて、事実愛しくて仕方ないみたいに言って。
翔の顔がゆっくり近づいてきた。
唖然として言葉が出ないオイラをよそに、翔は人の子の傍らに膝をつくと、語り掛けながら頭をそっと撫でた。
その顔がまた、これまで見せたことがないような表情で。
この人間を慈しむ気持ちが伝わってきて、これまでのガキンチョだった翔と同じ存在とは思えないくらいだ。
「ニノ、上からおまえを捜してる人の子が見えたぞ
あれがアイバサンだろ?
こっちに向かってる
あいつイイ奴だな~
たくさんの神仏に守られてるのがオーラでわかるぞ
もうすぐここに来るから、何も心配いらない
びっくりさせてゴメンな?」
ああ、確かに。
愛しいものを必死に探す人の子の気配が近づいてる。
オイラ達の姿を見られて騒ぎになっても面倒だな。
「翔」
「うん」
気を取り直して呼びかけると、それだけでオイラの意を察した翔が阿吽の呼吸で応じた。
ニノ、と呼んだ人の子から「すまほ」がブーブー言う振動が伝わって来る。
「じゃぁ、ニノ、元気でね
困ったことがあったら呼んで
俺、今日のお礼に、すぐに飛んでくから
俺のこと守ろうとしてくれて、ありがとな」
名残惜しそうに翔が言ったのを機に、オイラ達は気配を消す。人の子には見えない距離までジャンプして移動するのにも、翔は楽々とついてきた。
やがて現れたアイバサン? とニノ? が去って行く姿を見送って。
ていうか……。
オイラは二人を見送る翔が不思議で、じーっと見てて。
「ん?」
視線に気づいた翔が、オイラに微笑む。
「……ん」
何でもない、って目を逸らしながら、なんでオイラが目を逸らすんだ?と思う。
首筋がカーッと熱くなるのが自分でわかる。
「智」
今までよりも高い位置から呼びかけてくる声が、低くて甘い。
見上げるオイラは、何故だか胸の鼓動が早くなる。
「智、今朝はごめんね」
腕が伸びてきて、手の平がオイラの頬をそっと包んだ。
「……あ、け、さ?」
耳元で囁やかれる声にオイラは棒立ちになる。
え、っと……。
「俺ね、大人になった瞬間わかったの
智に会うためにここに来た、って
智は俺の大事な、大事な番(つがい)
もう絶対に離れないからね
ずーっと大切にする」
目を細めて、事実愛しくて仕方ないみたいに言って。
翔の顔がゆっくり近づいてきた。