龍と鳳
第12章 【思い出編】Memories
自分がどこからやって来たのか、イノチの来し方をオイラは知らない。
チビだったし、よく憶えてないんだ。
でも多分あの時は空に居たんだと思う。
広くて青いひんやりした空間に、まだ形を成さないエネルギー体だったオイラはぼわっと存在していた。
上の方では穏やかな光が満ちていて、いろんなイノチが折り重なるように在ってさ。
太陽から降り注ぐ光に包まれて、皆、ゆったり幸せそうで。何か目的があってやることをやってる、ってイキイキした感じが満ちていた。
楽しそうだなぁ、って最初はそっちばかり見てた。
それからしばらくして、今度は下の方を覗いた。
水面みたいにゆらゆら揺れてぼやけてる。
池の底を覗くような感じ。
所々、深緑に濁っている場所もあった。
それが不思議でさ。
じーっと見ていると、水の奥で時々光が動くんだ。
黒い鯉ばかりがうじゃうじゃと居る濁った池で、一瞬だけ色のある鯉が姿を見せるみたいに。
白い鯉も金色の鯉も、緋い鯉も居た。
『ほえ~……あれ、なんだ?』
濁りの奥の光は大きかったり小さかったり。
黒いのの先頭に立ってピカピカしていることもあれば、囲まれて押しつぶされるみたいに埋もれて、段々小さくなっていくこともあった。
オイラはそれらを夢中で眺めた。
見ていると法則性があって、黒いのと居る光はだんだん小さくなって消えてしまうようなのだ。
『せっかくピカピカしてるのに、まただ』
緋い光が消えてしまったのが名残惜しくて、オイラはなんだか形のない自分自身がムズムズと震えた。
だって、あんなに綺麗で大きく光っていたのに。
もっと水がキレイな方へ行けば、もっともっと永く光っていられたのに。
一生懸命光ってたんだ。
なのに消えてしまった。
それは、オイラが初めて持った感情だった。
かわいそう、って言葉も知らないのに、ただ切なくて辛い。
どうしてあの光たちは消えたの? なんで?
誰かに訴えたくて、だけどどうすれば良いのかも分からない。
ムズムズ、じわじわする想いが極まった時、オイラは声にならない想いを内から外へ放った。
『あああ~~!!
消えたらダメだ!
そんなのダメなんだあ~~!!!!』
その時の強い想いが産声になって、呼んだらしい。
周囲が暗くなって雷鳴が轟いて。
気づくとオイラの目の前に、緋い大きな龍が居た。
それが緋龍、ショウとの出会いだった。
チビだったし、よく憶えてないんだ。
でも多分あの時は空に居たんだと思う。
広くて青いひんやりした空間に、まだ形を成さないエネルギー体だったオイラはぼわっと存在していた。
上の方では穏やかな光が満ちていて、いろんなイノチが折り重なるように在ってさ。
太陽から降り注ぐ光に包まれて、皆、ゆったり幸せそうで。何か目的があってやることをやってる、ってイキイキした感じが満ちていた。
楽しそうだなぁ、って最初はそっちばかり見てた。
それからしばらくして、今度は下の方を覗いた。
水面みたいにゆらゆら揺れてぼやけてる。
池の底を覗くような感じ。
所々、深緑に濁っている場所もあった。
それが不思議でさ。
じーっと見ていると、水の奥で時々光が動くんだ。
黒い鯉ばかりがうじゃうじゃと居る濁った池で、一瞬だけ色のある鯉が姿を見せるみたいに。
白い鯉も金色の鯉も、緋い鯉も居た。
『ほえ~……あれ、なんだ?』
濁りの奥の光は大きかったり小さかったり。
黒いのの先頭に立ってピカピカしていることもあれば、囲まれて押しつぶされるみたいに埋もれて、段々小さくなっていくこともあった。
オイラはそれらを夢中で眺めた。
見ていると法則性があって、黒いのと居る光はだんだん小さくなって消えてしまうようなのだ。
『せっかくピカピカしてるのに、まただ』
緋い光が消えてしまったのが名残惜しくて、オイラはなんだか形のない自分自身がムズムズと震えた。
だって、あんなに綺麗で大きく光っていたのに。
もっと水がキレイな方へ行けば、もっともっと永く光っていられたのに。
一生懸命光ってたんだ。
なのに消えてしまった。
それは、オイラが初めて持った感情だった。
かわいそう、って言葉も知らないのに、ただ切なくて辛い。
どうしてあの光たちは消えたの? なんで?
誰かに訴えたくて、だけどどうすれば良いのかも分からない。
ムズムズ、じわじわする想いが極まった時、オイラは声にならない想いを内から外へ放った。
『あああ~~!!
消えたらダメだ!
そんなのダメなんだあ~~!!!!』
その時の強い想いが産声になって、呼んだらしい。
周囲が暗くなって雷鳴が轟いて。
気づくとオイラの目の前に、緋い大きな龍が居た。
それが緋龍、ショウとの出会いだった。